最も効果的な英会話の教え方:プライベートレッスン

私は約20年前に獨協大学(外国語学部英語科)を卒業後に大手英会話
スクール(ECC外語学院)にスタッフとして就職した。
現在の英会話スクール最大手のNOVAはまだ小さく、私はその存在さえ
知らなかった。現在のジオスやイーオンも存在せず両校の前身アンビックが
徳島から東京に進出して来たところだった。東京で著名な英会話学校
老舗がまだ巾を利かせており、日米会話学院、エレック、神田外語学院
津田英語会、ケンブリッジ、ベルリッツ、そしてECCが大手だったと
記憶している。その当時のレッスン形態は古典的なクラスシステムで曜日と
時間帯を決めて毎週20人前後の生徒に対して1人の先生が指導するもの
だった。


私もECCで1クラス最大24人定員のクラスをいくつか担当した。
4サイクルシステムという大人数クラスでも最大限英語を話す機会を生徒へ
与える教え方をした。私は専攻が英語だったので大学で外国人講師の英会話
のレッスンをいくつか履修したがクラスサイズは10名から30名位で、
1年間習っても会話力が上達したとは思えなかった。唯一、あまり人気の
ない先生の授業は小人数でのディスカッションが主体で英語を話すことに
少し慣れた気がした。ECCでの教え方はそんな私の度肝を抜くほど科学的
でシステマティックだった。具体的にはオーディオリンガルメソッドによる
会話文(dialog)の暗記暗唱、テープによるリスニング練習、ドリル教材に
よるパターンプラクティス、会話教材による応用会話練習だ。全体学習、
ペアー学習、個別チェックを絶妙に組み合わせてレッスンが展開され、
大部分の生徒もその虜になった。


しかしそんなクラスレッスンに強敵が現れた。8〜10名前後のサロン式
英会話レッスンだ。ASAコミュニティーサロン(新宿・渋谷・銀座を拠点に
した大型英会話スクール、以下ASAと呼ぶ)が開発したサロン式英会話は
丸テーブルを囲んで講師と生徒が会話しながら学ぶ教え方だった。
また、クラスシステムではレッスンの曜日と時間帯が決められていたが、
サロン式では生徒が習いたい日時に予約を取る、いわゆるフリータイム
予約制を日本で初めて導入した。一般的なクラスレッスンでは講師が白板を
背にして生徒全員の前に立ち(生徒は全員椅子に座って講師と対面する、
一般的な学校の教え方)生徒を見下ろしながら指導する形態、声を揃えての
コーラルプラクティス(一般的には講師の発話をリピートする)。
どうしても講師の説明が長くなり個々の生徒の発話は先生の質問に指名
されて答える時だけだ。講師が生徒と同じ丸テーブルに座って生徒と同じ
目線で会話を促すサロン式英会話はある意味画期的な教え方でありフリー
タイムシステムも忙しい社会人にはとても便利だったので(年間受講料が
50万円近くしたにも拘わらず)人気を博し、一世を風靡するかに思えたが
ASAが外食業界に進出、多角経営化を図ったがそれが裏目に出て、本業の
英会話ビジネスで巨額の利益を出しながら倒産してしまった。


ASAのサロン式英会話はNOVAなどに引き継がれ丸テーブルを囲んで
3〜4名のフリータイム制グループレッスンとして行われている。
しかし最近は3人のグループレッスンで満足していない学習者が増えつつ
ある。グループで一番会話ができ積極的に話す人以外はどうしても臆して
積極的に話せない。特に自分よりよくできる人が居ると緊張してうまく
話せない人は意外と多い。45分のレッスンで自分が話している時間は
10分にも満たないと不平を言う。


「1対1でレッスン中すべての時間を先生と心行くまで英語を話して
みたい。」そんな学習者の欲求を満足させるプライベート専門のスクールが
ここ3〜4年ぐっと増えて来た。かつては1時間1万円という高嶺の花
だっだプライベートレッスンがその半値以下で受けられるようになった。
その先鞭を切ったのがマンツーマンレッスンのGABAである。現在でこそ
東京の拠点でNOVAと軒を共にするスクール展開をしているが、5年前
ぐらい前までは外国人講師を紹介し、生徒が外国人講師宅や喫茶店でプライ
ベートレッスンを受けるという講師紹介業社だった。


今はこのGABA発案の講師紹介業をインターネットを活用して多数の
エージェントやスクールが引き継いでいる。
私共エース英会話スクールもそのひとつである。
(興味のある人は是非HPで詳しいシステムを確認してほしい。)


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英会話は外国人講師に習うのが本当にベストなのか?

大手英会話スクールの経営戦略で「英会話は外国人講師(native teachers of English)に
習わないと上達しない」「外国人講師に習うのが一番」という考えが日本人の英会話学習者
の間に浸透しているようです。

講師が全員外国人であることを自慢しているある英会話スクールさえあります。
本当にこの考えは正しいのでしょうか?


実は私の運営している英会話家庭教師の派遣スクール(エース英会話スクール、以下ACE
と呼ぶ)も上記のような一般的な学習者ニーズを踏まえて講師は100%外国人でスタートしま
した。しかし意外と日本人講師を希望する学習者が多く、少しずつ日英バイリンガルの日本
人講師を採用した結果、現在では全学習者の約35%が積極的に日本人講師を選んでいます。


どういう人達が日本人講師を選んでいるのかと言いますと、

1)いきなりオールイングリッシュではついて行けないと考える英会話学習初心者

2)いままで何年も外国人講師に習ったがあまり上達しなかった万年初級学習者や子供達

私は特に2)の理由に注目しています。

子供、大人を問わず2)と感じている(またはそれに気づいた)学習者はますます増えつつあります。


外国人講師に習ったがあまり上達しなかった理由を私は次のように分析しました。

A)英語のみの説明では分からないことが多すぎる。大体分かっても細かいニアンスが掴め
ないので理解だけに留まり、新しく習った英語表現を実際の英語でのコミュニケーション
で自分の言葉として使いこなせない。

B)分からないところを英語で質問できない。

C)自分が本当に表現したいことを英語で伝えられないし教えてもらえない。
レッスンが終わっても日本語でしか表現出来ず英語でどう言っていいのか分からない。

D)新しい表現を口頭で習ったり聞いても、ネイティブ講師の発音が聞き取りずらく講師の
発話をそのまま真似ることができない。

E)ネイティブ講師が話し好きで、講師の話を聞くことが多く、自分が話す時間が少なすぎ
る。どうしても聞き役になってしまう。

もちろん全学習者が上記項目すべてを感じている訳ではなく、一部の学習者(特に大人の
初級者や子供達)がいくつかの項目にストレスを感じているということです。


私共のスクールでは外国人講師・日本人講師という単純な分け方ではなく、英会話レッスン
において使用可能な言語運用力(日本においては学習者のターゲット外国語としての英語と
その母国語としての日本語)で英会話講師を次のように分類しています。

1)英語のみ使用可能なmonolingual native teachers of English

2)英語と日本語が使用可能なbilingual native teachers of English

3)日本語のみ使用可能なmonolingual Japanese teachers of English

4)英語と日本語が使用可能なbilingual Japanese teachers of English


賢明な読者はもうお分かりかと存じますが、

1)は大部分の大手英会話スクールが採用している外国人講師です。外国人講師を売り物
にしているのですからレッスン中に日本語を効果的に使うことを期待もしていませんし、
ましてや採用試験において日本語の運用力を問うことはまずありえません。

2)はACEも含めて一部の英会話スクールで積極的に採用しているとても貴重な外国人
講師です。学習者の反応に合わせてオールイングリッシュのレッスンも効果的に日本語
をちりばめた授業も実践できます。

3)は残念ながら日本において現在でも多くの中・高・大学の教壇に立っている典型的な
日本人英語教師です。

学校で10年間英語を勉強しているのに話せるようになれないのは当然です。
大部分の先生が話せないのですから...

4)は2)同様、とても貴重な講師で帰国子女や英語圏への留学経験者がほとんどです。
(もちろん留学経験などなくても英会話をマスターした人達も数多くいます。)


英会話学習者の皆さんへの私のアドバイスは、

A)英会話スクールや講師を決める際にご自分の英語力を十分に考慮して下さい。
特に英会話初級者や子供の親御さんは注意が必要です。
外国人・日本人を問わず日英バイリンガル講師が最も効果的でしょう。


B)もう初級は卒業したと自覚している中級学習者以上にとってはモノリンガル外国人講師
でも大丈夫なはずです。


最後に日本の英語教育界への提言です。

A)モノリンガル外国人講師にばかり頼るのではなくもっと日英バイリンガル講師を積極的
に活用しましょう。その的確な教授法については別の機会に譲ります。

B)もっともっと英会話の出来る日本人学生を育成する為には、バイリンガル日本人教師を
養成するなんらかのシステムや機関が必要でしょう。


皆さんのコメント(ご意見ご感想)をお待ち申し上げます。

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英会話の効果的な学び方と教え方ブログの趣旨

私は英会話家庭教師のエースという英会話教師(外国人+バイリンガル日本人講師)を
一般家庭に派遣する会社(エース英会話スクール)を運営しております。

3歳の幼児から80歳過ぎのシニアの方まで、幅広い生徒層を抱えております。

外国人・日本人講師の採用から教材の選定、レッスン内容、学習相談など英会話教育に
関する様々な業務をこなしています。


そんな業務の中で普段私が英会話教師や生徒さんや親御さんに接して感じたこと考えたこと
などを、過去の私の英語教育業界での経験も踏まえながら書いて行きたいと思います。

実際に現在英会話を学習中の方やご自分の子供に英会話をマスターしてほしいと思っている
親御さんや同じ英会話教育に携わっておられる先生やスクール運営者の方々に是非読んで
いただきと思っております。


みなさんからのいろいろな感想や意見をお待ち申し上げます。
お気軽にコメントをお寄せ下さい。